夕陽とオバハン




 よる。
 民生喫茶で本の続きを読みたいと思い、出るとチャリがなくなっていた。
 盗まれたようだ。こんな時にまた踏んだり蹴ったりである。
 うーーん、どうすっか?と迷いながら、とりあえず、
 秋雨が降りしきる暗い路地を、とぼとぼ駅前まで歩き、
 民生食堂で肉を食い、さっさと歩いて帰ってきた。
 歩くと、一歩毎にみじめさが胸に迫るようだった。
 チャリで風をきってゆくのとは大違いだ。
 盗難届けをまだ出してないんだけど、
 どうせ出したって、都合よく戻っては来ないんだろう。

 イヤちんのを読む。やさしくてやるせない。
 結局、なんでイヤちんの日記が好きかというと、
 あの、まわりの物事を見つめるやさしい眼差しのせいなのだろう。
 やさしいから詩人なのか、詩人だからやさしいのか、
 何を書いてみても、文章に、あたたかさや、やるせなさみたいなものが流れている。
 最期に貼ってあったジャーニーのpvもやるせなさ全開。
 ジャーニーもブーメラン熱唱男も、イヤちんが貼るとそこなしの無常感しか示さない。

 先輩の、8tracksていうの動かねぇ・・・
 Deutscher Kaiser, Die Egozentrischen 2, Gorilla Aktiv and Kaoru Todoroki.
 つい太もかろうじて観れてるくらいのウチの環境だからなあ。
 ただもう、なにもかも、朽ち果てていくにまかせております。
 最期、よく分らないタイミングで突然mixiradioにキレるのも最高。

 クン先生のシモナガレ日記を読む。
 やはり、これを石油王が書いてると思うと圧巻である。
 どうやったら、石油王が、このような細民の暮しの、
 折々における細やかな感情の襞までを丹念に描けるのだろうと、言葉をうしなう。
 クン先生は「スーパーバット 童貞ウォーズ」などと書いてみても、
 やはり文章にとても品があって、ゆったりとした感情が流れてるというか、  
 独特の鷹揚さがあるし、やはり石油王か、没落貴族かなんかなんだろう。

 そしてペー先生のはてな社長とのoff会日記だけど、
 やはり、難しい内容で意味が分らなかった。
 ペー先生と同い年の近藤社長が風俗に繰り出す話なんだけど、
 やはりペー先生は社会派なので、格差社会とかいろいろナウい時事問題を鋭くアレされてるのだろう。
 それでも、面白くバカ話みたいに書いてあっという間に読ませてしまうのだから、
 さすが我らがショボ中年の星ネットアイドルだぜと感銘を受けたのだった。
 
 写真は墨田区にて。
 ぼくは、髪の毛をとっぴな色に染めているオバハンがなんか大好きだ。
 戦時下に青春(という感性が一番育まれる時期)を過した世代は、
 オサレがどうのとかいってる場合じゃなかったから、
 ワタスらみたいなふにゃふにゃ世代からみると、ちょっと独特のアレを発揮する、
 という話。あれはホントなのだろうか?
 我々の世代の感覚で見ても、普通にオサレな感じのお年寄りがたまにいるけど、
 ぼくは、無気味な迫力というか、凄みみたいなものを感じる。
 戦争中でも、ヘタすりゃ非国民扱い覚悟でオサレを貫いてきたのかと思うと、
 逆にその意志の力、気合いの入り方に、化物じみたアレを感じて、おっかねえと思うのです。