V.A. compiled by "add some music to your day"

 これは氏が参加している企画での『タイトルしばり』という制約下での選曲で、ここでは太陽(Sun,Sunshineなど)がタイトルに付く曲のみで編集されているのですが・・・なんたる素晴らしい曲と構成! じんわりと穏やかで優しく、泣けてくる素晴らしいmixCDです!! この先、コトあるたびにお世話になりそうな気配が濃厚。作品としての完成度もさることながら、極めて実用的なmixCDでもあるというのがうれちい。ちょっと困るのは、自分が普段聴いている音楽がなにやら無味乾燥に聴こえてしまうというコト(笑)くらいか。きよさんがフォーキーな音(とくにアコギ)にこだわられている姿勢が、ものすごく納得出来る選曲と感じ入りました。
 早速、一曲づつ感想おば。

1●YOU ARE THE SUNSHINE OF MY LIFE / STEVE FELDMAN (1973) 最高に美しいアコギとエレピがうっすらと重なりあい、ゆっくりと聴こえてくる名曲のメロディ。穏やかな光をたたえる男の歌声、ビブラフォン、パーカスもまじえ、ゆるやかに揺らぐグルーブが最高に美しい! 本当にそこに春の木漏れ日(Sunshine)があるような、そっと目を閉じたくなる音楽。自作曲も是非とも聴いてみたいお方。
2●SUMMER SUN / DUNCAN STITT (1979) 寄せては返す波のようなアコギ、パーカスの淡々としたグルーブ、ぼんやりとにじむエレピにきらめくアコピ、滋味深い男の歌声。昼下がりと夕暮れの間の微妙な空色に染めあげられた音のタピストリー。その場の空気をいっしょに呼吸してるかのような、親密で素晴らしい演奏ですね〜。
3●SUNSHINE DAYS / BILL PUKA (1970) 強いアタックのピアノと、しゃきっとしたハイハットが跳ねまわるビビッドな音像。つかみ所がないようで、それでいて猛烈に美しくて印象的なメロディがそこいらじゅうに・・・。手のこんだ贅沢なスイーツを味わっているような感覚なんだけど、胃もたれするようなコトなく、しなやかで爽やかな後味を残します。編曲も色んな楽器とアイディアが現れては消える、展開につぐ展開の異常なカラフルさ! 疾走する列車から眺める、飛び去る風景のようです。分裂症ぎみだけど物凄く才気ばしったお方!のすんごい曲!
4●MR. SUNLIGHT / EDWARD & HARDING (1971) まさに春爛漫といった感触のVo、ギター、コーラス、ストリングスが奏でる、穏やかで暖かい日溜まりのようなフォークサウンド。これぞ『人生の華!』てなコトも言いたくなる、素敵で可憐な小曲。
5●VISION OF SUNSHINE / VISION OF SUNSHINE (196?) 子供の独唱、ぽつりぽつりと配置される、ギター、オルガン、フルート、バンジョーが描く点描のような静かな風景。「音の隙き間を聴く」かのような美しいイントロがとても印象的。後半はパーカスやコーラスのたおやかな流れの中に、きらきら光るチェレスタ(あってる?)やバンジョーの音色が踊り、躍動的で鮮やかな色彩を感じさせます。ここで描かれるのは、鈍色の曇天から差し込む、手を合わせたくなる荘厳な光(sunshine)の予感そのもの。
6●SEASON IN THE SUN / BUD DASHIELL (1968) 一音一音に光を宿した、美しすぎるアコギのイントロ、そして前へ前へ転がるようなガットギターとパーカスの伴奏に、ちょっとやるせないような、滋味溢れる男の歌声が響きます。濃い暗闇のトンネルから、一点の光(sunshine)に向かって疾走していくような、暗さと静けさと清々しい爽やかさが同居する強烈な印象の曲。最高!
7●SUNSHINE / HEDGE & DONNA CAPERS (1970) 中睦まじいデュエットに、穏やかなグルーブをたたえたフォーキーな演奏。フラワーな時代の息吹までも再生する、ドラムとコーラスのサイキーなエコーが隠し味。
8●SUNSHINE AND THE ROSES / ERIC SHAM (1976) 硬質でメタリックな輝きを放つギターのつま弾きと、ふわっとしたシンセストリングスに包まれて、螺旋を描きながらどこまでも上昇していくようなやるせない男の歌声。少しずつ、静かに心にしみ込んできますね。
9●SUNSHINE INSIDE / LYLE SWEDEEN (1974) 弾むようなバンドサウンドに、空中で一瞬ひるがえるような裏声Voが、とてもしなやかにフィットしていて素晴らしいです。チェンバロチェレスタ?)とかオルガンの音色がとても印象的ですよね。
10●MORNING SUN / JESSE COLIN YOUNG (1973) 西海岸の明るい光と風を呼吸するような、かろやかなフォークロック。そして「まァ、気張らずに行き(生き)ましょうや」とか言われてるようなリラックスしたブラスといい・・・とにかく「サニー」なうれしい感触。
11●SUNLIGHT / STEVE MULLANEY (1980) 淡い光を閉じ込めたアコギの響きに導かれて、男が、圧倒的にデリケートで泣かせる声でぼそりぼそりと唄いはじめる、希有にして得難い感触の「サンライト」のカバー。「陽光」というよりか、これは暗闇に浮かぶ青白い炎。研ぎ澄まされた日本刀の切っ先を眺めているかのような静けさと張り詰めた空気。男の声とギターだけなのに、ダイヤモンドのような煌めきをちりばめた、(おおげさでなく)奇跡的なカバーですね! 原曲よりも強烈なり(笑)。
12●SUNSHINE / CRAIG NUTTYCOMBE (1978) 鼻づまりぎみな、優しい声がゆっくりと丁寧になぞる、とっても真摯で誠実なメロディ。人柄がにじみ出してる音楽といおうか、聴いてるとこちらまでほっこりと優しい気持ちになりますね。・・・彼がVoを独り多重コーラス(ピッチをずらしてる?)にした理由を聴きながら考えています・・・
 
 どれも素晴らしい曲ですし、流れを無視して比較するのも野暮かも知れませんが、曲単体を取出してみて、特にお気に入りは1,2,3,6,11など!!
 手持ちはジェシ・コリン・ヤングのみ。バド・ダッシェル、ビル・プカ、クレイグ・ナッティカム以外は原物を拝んだコトもないですな〜。いやはやSSWは奥が深い。くどいようですが、これで「タイトルしばり」とは!! "sun"も"light"のように宗教系フォークのモチーフでもあるのでしょうか?
 素敵なジャケ写と、御本人によるコメントはこちら・・・
http://d.hatena.ne.jp/addsomemusic/20050911