Mark Henley "Riversong"

 遅ればせながら、やっとこさ中古CDで安く見かけたので買ってみたヨ〜。傑作SSW作品。当時ともに活動してた、マイケル・ジョンソン(の初期盤)やジェフ・ハリントンの盤がお気に入りな僕なんで、いつか聴いてみないコトにゃ〜てな買い物。聴いてみて・・・やっぱすごい良いSSW盤ですね。 SSWやフォークファンが愛で、欲する『SSW作品ならではの美点』を高度に備えているというか・・・どこを切っても、静かな、ひっそりとした美しさをたたえたアコースティックサウンドが流れ出す。泥・・・つーか沼クサさ(まさにジャケのような)漂う、その土地の風土(←えらそーだが分ってんのか?!)、現場の空気感がしっかりと伝わってくる。そして程よく抑制のきいた、じんわりとしみ込んでくる、音の響きとメロディが素晴らしいね。ただ数曲ある、にぃにぃ、ちゃかちゃかいってるカントリーっぽいのは苦手かな・・・(笑)。
 
 美しいアコギと優しい男の歌声、そっとベールをかけるような女性コーラスが絶品の2(full moon of April)。アコギのつま弾きにぼそっとした唄の5(after Saturday)も、輝きを秘めたような音の響きに、ただ『レイジー』の一言では済ませられない美しさ。なにか懐の深さを感じるメロディと、心地よさと知性を同時に感じるコーラスワークがすごい7(Places & Old Friends)も、よくよく聴き返したら、すげー曲だった。 それから、インストなんだけど、演奏にコクとキレが横溢する8(Froggin)は、沼臭さとすごい洗練の同居に目が覚める。すっごい、いいですね。 優しさと滋味の9(RiverSong)。ちょっとミスティでうすら悲しい10(Strawberry Moon)もホント美しい孤独感。

 聴く前の評判では、みんな「良い、良い」って言うし、アナログは馬鹿高いし「どんなすごい音が飛び出すやら」と期待してたので、正直ちょっとモノ足り無さも在るんだけど(笑)、この「必要最低限さ」とか「過不足のなさ」「さりげなさ」が得難いモンなんでしょうな。前にあるレコ屋店員に「これ、どんな風にイイですか?」と訊ねたら・・・しばらく考えてから言われた「穴がない」との一言。今になって、なにか思慮深さと冷静さと、わずかな「商魂」という・・・レコ屋店員としての、プロらしい含蓄あるコトバだったと感心しております(笑、どうでもいいか)。
 てな感想。これは実際、アナログがどんな音するのか聴いてみたいね。アナログで持ってたら、気分いいだろうな〜(笑)。ジャケもかっこいいコトですしね・・・