ぬばたまの音溝たどる秋の水
閑散とした田んぼの一日。農夫の半数が『東モ』とかいう村へ出稼ぎに。
変な曲をかけながら、ぼけっとする。
夜、心配してたワラジ作りみたいな仕事が予定より前倒しで入ってきたので、とりあえず手を付ける。それから、少し安心した気分で帰宅。さむい。
イスの上でぐんにゃりしてたら、気が付いたら真夜中。
その間、レコードとCDを数枚聴く。
すこしアレコレ思うけど、特に言葉にならないようなアレコレ。アレコレは微妙な感じで真夜中の心にうすく降りつもって、なんてことなくそのまま終了。
買ってきたレコのざらざらが気になって、数枚、洗ってみたりする。
細く流れる水が冷たい。艶めいた盤面の暗黒に、ふしぎな水流を作る。そこを指の腹でそっとなぞりながら、精緻な溝の感触をたしかめる、嗚呼、これはまるであのひとの黒髪を撫でているやうだね(爆死級)。
中年は恍惚とした気分で、ああ秋だなあと思ったりしたそうな。
ちなみに「秋水」って日本刀の美称だそうな。