志茂銀座のコンポジション

 

 志茂銀座というところは初めて訪れたが、今まで見てきたご当地銀座の中でもかなり鄙びていてイイ感じだった。だいたい〜〜銀座という商店街は「ああ、かつてはそう呼ばれてもおかしくないようなアレだったんだろうなあ」という、昔日の面影というか、そういったなにかしらの痕跡のようなものを残しているけれども、そもそもここにはなにもない感じがした。ちゅうかこの一角だけが勝手に志茂銀座を謳っているようなアレもあった。欧米式ドライクリーニング、なんつうかクソシブイです。

 ご当地銀座というと、その全国第一号「戸越銀座」の「関東大震災後の銀座の瓦礫廃材をアレしてきて作った」というかっちょイイエピソードを語ってくれたn君を思い出す。
 当時n君は、皆から「なんかおかしなコトを言う人」というふうに思われているところがあって、「温泉で素っ裸で弓道をしていたら、放った弓が跳ね返って奇跡的に矢筒の中に収まった」などという言動がずっと皆の語り種だった。矢筒云々以前に、そもそも「温泉で弓道」というのが奇跡的、というか、どういう状況なのだか分らない、射的コーナーじゃねえのか?などと、皆から突っ込まれていたのだが、「いや、温泉に弓道場が併設してあった」と頑として曲げないのだった。。
 その後なにかの折、「弓道ができる温泉」みたいな情報を誰かがたまたま発見し(素っ裸で出来たかどうか、、肝心のそこを失念してしまったのだが)、ぉおお、n君のアレは本当だったのか。。などと皆で妙に感心してしまった。そして今度は「射た矢が矢筒に収まった」というのも、実はホントなんじゃないか??などというむきまで出てきた。そしてn君は「ウソみたいなホントのコトをいう男」として、皆から一目置かれるようになったのである。
 あら、なんの話でしたっけ。。
 そうそう、いつかやんごとなきお方と、ぶらり迷いこみたい、そんな商店街だった。

 
 
 イヤちんの
 「へらへら呑気に笑ってやがって殺すぞてめぇら。
 ぼくには夢がある。」
 というところで、味噌汁を噴いたため、ワカメが民生食堂の壁目がけてすっ飛んでいった。
 「タマキン忍者」などというものまで登場し、ますます渾沌としてきた。