出久根達郎著「古本綺譚」

 最近読んでみて面白かった本。戸川昌司の「猟盤日記」の「最近の猟盤日記は出久根達郎みたいですね、という読者からの意見〜」みたいな一節がずーっと引っ掛かってて、やっとこの前古本屋でげっとしてみたら猛烈に面白くて一日で(会社で)読んでしまった(笑)。古本屋の主人が描く、古本にまつわるホントのようなウソのような人間ドラマ&オモシロ話が満載。古本のコトなんてな〜んも知らない僕が読んでみても、やたら面白かった。
 中古レコでも古本でも、そういうのにイカれちゃってる人の手記みたいなのって、すごく面白い。レコでも本でも、モノ自体もとーぜん面白いんだけど、それに強烈に執着してる人々が、一体なにを考えてる(笑)んだか知りたいんですよね。まあ読んでみて、単に「オレはまだまだダイジョブだ」っつー「許し」が欲しいだけなのかも知れないけど・・・
 まァ「許し」なんかどーでもいいか!? 学生時代っつーのは美術学校だったコトもあって、何やら有能無能玉石混淆ながら色んなおもろい人々が周りにうろうろしてて、毎んちそら楽しかったもんですよ。会社勤めしてからずぶずぶレコード方面にハマっていってしまったのって、どうにも会社の周りの連中がつまらなくて、「人がダメならモノだ!」とかそんな思い上がり&ヤケクソな気持ちもあるんですかね(笑)。もうアンタらいいよ、レコードのコトだけ考えることにするよオイラは(笑)っつー。レコや古本にイカレてる人々の文章からもそういう厭世気分や諦念や自愛やうぬぼれが、強烈に放射されている。(人生にはもっと大切なコトがあるだろーに)しょーもない中古品にひたすらうつつを抜かす反社会、反体制っぷり、ダメ人間っぷりを読んで「もっとやれ!」と気分がスカッとしたり(笑)「ダメだよこんなコトじゃ・・・」という人のフリ見て我フリ直せ的な部分と、半々のないまぜななんとも言えない気分になりやすね(笑)。