Eliete Negreiros s/t "86

 しんと静まりかえった、独りの正月の朝に何を聴こうかな? 気のせいかも知れないけど、いつもより清らかなこの雰囲気を壊したくないし、なにしろ今年の初聴きだもんね〜。やかましいのはダメだし、気持ちを浮き立たせるようなやつも嫌だな。かといってひたすらメローなのも違うし・・・。 それでブラジルの女流歌手エリエッチ・ネグレイロス(強そー)の86年盤を聴くコトにしたヨ。
 このレコは一曲目の不協和音ボサが素敵なんだよな〜。もちろん打ってないし、胸キュンなメロもない・・・。ただ不思議なメロディに、それを包み込む不安定で、なにやら不穏なアンサンブルがめちゃくちゃ美しいのです・・・。そしてなにより、ネグレイロスさんの透明でひっそりとした歌声に、吸い込まれそうになる・・・。
 タンバトリオの『ブラックタンバ』とか、僕は不協和音のボサにとても弱いような気がします。ボサという、歴史が浅く人工的で、ある種、洗練の極みのような様式に、明らかな不協和音・・・。聴いた感じの心地よさとは裏腹に、どこか強烈にこちらを拒否してるような、得体の知れない高級感というか、ただただ、そーいうのにのぼせているだけかも知れないけど・・・。正月の朝くらい、ちょっと高級な気分を味わってみたい、そんな庶民派代表です(笑)。
 82年(デビュー?)作は、かなりアバン・ポップな、ぶち切れた内容だったと記憶しますが、こちらはだいぶ丸くて聴きやすい内容。とかいってA面『角度』、B面『全ては言葉である』なんて、仰々しいタイトルがついてたりするんだけど(笑)。
 やはり不穏で美しいチェンバー風A4、わりとまともな美ボサA5、ひんやりした感触のダウナーボサB3、静謐で美しいジャジーフォークB4あたりは、この人ならではの世界という感じで、ほんと素敵ですね。
 ただBラスにひっそり配置されたアブストラクトなエレクトロは、やはりただ者じゃねぇ!という静かな壊れっぷり(笑)。


 そんなコトで本年もよろぴくお願いします。