田んぼへ降りていく長い坂の終わりくらい、
 でかい陸橋をくぐるんだけど、そこにホームレスが住んでいる。
 若いホームレスと中年のホームレス。
 初めは見分けがついたんだけど、いまはどっちもヒゲもじゃで、
 見分けるのが難しい。
 若い方は、だいたいいつも地面にぐにゃっと寝ている。
 中年の方は、わりときちんと地面に座って、
 いつも、マンガや本を読んでいる。
 毎朝、その隣を時速30kmくらいで降りていく。
 ああ自由でいいなあとか、毎日すごいたいへんだろうなあとか、
 そういう感想が、時速30kmくらいで、頭をよぎってゆく。